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日中の消費税制度の比較的検討

目次

1. はじめに

2. 消費税制度の基本構造
2.1 日本の消費税制度の概要
2.2 中国の消費税制度の概要
2.3 日中制度の設計思想の違い

3. 税率と課税範囲の比較
3.1 日本の税率構造と課税対象
3.2 中国の税率構造と課税対象
3.3 日中の税率・課税対象の差異分析

4. 免税・軽減税率制度の実態
4.1 日本における軽減税率の導入状況
4.2 中国における免税制度の運用状況
4.3 両国の制度運用上の特徴と課題

5. 消費者負担と経済影響
5.1 日本における消費税の経済影響
5.2 中国における消費税の経済影響
5.3 日中の消費者負担の比較と考察

6. 制度運用上の課題と改善策
6.1 日本の制度運用上の課題
6.2 中国の制度運用上の課題
6.3 日中両国の改善策の検討

7. 参考文献一覧


 

1.1 日本の消費税制度の概要

日本の消費税制度は、1989年に導入されて以来、社会保障財源の確保と安定的な税収確保を目的として制度設計されてきたものである。導入当初の税率は3%であり、段階的に引き上げられ、2019年には10%に達している。この消費税は付加価値税方式(VAT方式)を採用しており、事業者が販売する商品やサービスに課税され、最終的には消費者が負担する仕組みである。

日本の消費税は、原則としてすべての国内取引に課税されるが、例外的に非課税取引や免税取引も存在する。具体的には、医療費、学校教育費、社会福祉サービスなどは非課税対象であり、生活必需品や特定の食料品については軽減税率が適用される場合がある。このような非課税・軽減措置は、消費者の生活負担の軽減や社会政策の実現という目的を持つと同時に、税制の公平性確保の観点からも重要な意味を持つ。

制度運用の面では、事業者による消費税の申告・納付義務が課せられ、仕入れにかかる消費税額は控除対象として計算される。すなわち、課税売上にかかる消費税額から、課税仕入れにかかる消費税額を控除して納付税額を算出する方式であり、付加価値税の基本原則に従う。この方式により、二重課税の回避と事業者間の税負担の公平性が担保されることとなる。

さらに、日本の消費税制度は税収の安定性が特徴である。所得税や法人税と異なり、消費税は消費支出に課されるため、経済景気の変動による影響をある程度吸収できる。これにより、社会保障費や政府予算の財源として安定的に活用できるという特性を持つ。特に少子高齢化が進む日本においては、社会保障財源の確保が重要課題であり、消費税の役割は一層重要となる。

このように、日本の消費税制度は、税率設定、課税範囲、非課税・軽減措置、事業者の申告納付方式などの要素を通じて、税収の安定化と社会政策の実現を両立させる仕組みとして設計されている。しかし、税率の引き上げや軽減税率の適用範囲の拡大に伴い、事業者の事務負担や税収管理上の課題も顕在化しており、制度運用の効率化や公平性の確保が今後の重要な検討課題となる。


 

1.2 中国の消費税制度の概要
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