論文一覧 > 日本企業のグローバル経営戦略

日本企業のグローバル経営戦略

目次
はじめに
第1章 日本企業の国際展開の歴史的背景

1.1 戦後復興期における輸出主導型成長
1.2 高度経済成長期と多国籍化の進展
1.3 バブル崩壊後の構造改革と海外展開

第2章 グローバル市場における競争環境

2.1 新興国市場の台頭と競争の激化
2.2 欧米企業との戦略的比較
2.3 地政学的リスクと企業経営

第3章 組織体制と人材マネジメント

3.1 海外子会社の管理と本社統制
3.2 グローバル人材の育成と活用
3.3 多文化共生と組織文化の変容

第4章 技術革新と研究開発戦略

4.1 日本的技術力の国際競争力
4.2 研究開発拠点のグローバル配置
4.3 デジタル化と新規事業創出

第5章 ブランド戦略とマーケティング

5.1 日本企業ブランドの特性と評価
5.2 現地消費者志向と市場適応
5.3 デジタルマーケティングと顧客関係強化

第6章 課題と今後の展望

6.1 国内市場縮小と海外依存のリスク
6.2 環境対応と企業の社会的責任
6.3 新興国市場戦略と持続的成長モデル

第7章 参考文献一覧

 

1.1 戦後復興期における輸出主導型成長

日本企業のグローバル経営戦略を考察するにあたり、戦後復興期の輸出主導型成長はその出発点として位置づけられる。第二次世界大戦の敗戦後、日本は深刻な経済的混乱と資源不足に直面していた。国内市場は限られた需要しか持たず、外貨不足が慢性化していたため、経済の立て直しには輸出による外貨獲得が不可欠であった。この状況において政府と企業は一体となり、輸出を成長の原動力とする戦略を推進したのである。

輸出主導型成長の基盤には、政府の政策的支援があった。通商産業省(現経済産業省)が主導した産業政策は、造船、鉄鋼、繊維といった基幹産業を重点的に育成し、外貨を稼ぐための輸出産業を国家的に強化した。また、為替レートが固定されていたことも輸出競争力を高める要因となり、日本製品は国際市場で「安価で高品質」という評価を徐々に獲得していった。この時期、日本企業は品質管理や生産効率の向上を徹底し、国際的な信用を築くことに注力した。

企業レベルでは、輸出を通じた市場拡大が経営の最優先課題とされ、国内需要に依存しない収益基盤を整備する努力が続けられた。繊維産業は戦後初期において外貨獲得の主力であり、その後は鉄鋼や造船が世界市場でシェアを拡大した。さらに高度経済成長の初期には家電や自動車といった新興産業が輸出の担い手となり、日本製品の国際的なブランド価値を高める基盤を形成した。これらの産業は、輸出による利益を再投資し、技術力と生産能力の向上を加速させることで、グローバル競争への参入を可能にした。

この時期の輸出主導型戦略は、日本企業のグローバル経営の基本的な方向性を決定づけた。すなわち、国内市場の限界を突破するために海外市場を重視し、品質や技術力を競争の源泉とする姿勢である。また、輸出による成長は単に企業収益を増加させただけでなく、外貨の蓄積を通じて国家の経済基盤を強化し、さらなる産業投資や研究開発を可能にした。

総じて、戦後復興期の輸出主導型成長は、日本企業がグローバル市場において競争力を確立する第一歩であった。この時期に培われた輸出志向と品質重視の経営姿勢は、その後の多国籍化や海外直接投資へと展開するうえで重要な基盤を提供したと言える。


 

1.2 高度経済成長期と多国籍化の進展


↓この論文の続きを購入する場合はコチラ(税込み9,000円)(1度のみ、販売します)(ワードファイルでダウンロードできます)

 


なお、以下のページで卒論制作に役に立つ論文をダウンロードすることができます。

論文一覧を見る
(ダウンロードできます)

 
論文一覧を見る
(ダウンロードできます)
 

他のお役立ち情報を読む