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訪日外国人旅行者のニーズと期待の傾向把握

目次

はじめに

1章 訪日外国人旅行者の動向と統計分析
1.1 訪日外国人旅行者数の推移と国別構成
1.2 訪日旅行の目的別傾向
1.3 旅行者属性と行動パターンの特徴

2章 観光資源と旅行者の期待
2.1 自然景観と文化資源への関心
2.2 都市観光と地方観光の評価差
2.3 季節イベントと旅行意欲の関係

3章 宿泊施設とサービスへのニーズ
3.1 宿泊施設タイプ別の利用傾向
3.2 施設サービスと旅行満足度の関係
3.3 食文化体験と宿泊選択への影響

4章 交通・移動手段に関する期待
4.1 鉄道・バス利用の利便性評価
4.2 交通アクセスと観光行動の関連
4.3 外国人旅行者向け交通情報の充実度

5章 情報取得と旅行計画の方法
5.1 オンライン情報利用の実態
5.2 口コミ・SNS情報の影響
5.3 旅行計画における情報信頼性の重要性

6章 旅行中の行動満足と改善要望
6.1 観光地での体験評価
6.2 買い物・食事に関する満足傾向
6.3 旅行全体に対する期待と改善要望

7章 今後の訪日旅行者誘致への示唆
7.1 ターゲット別プロモーション戦略
7.2 観光インフラの整備とサービス向上策
7.3 旅行者期待の変化に対応する施策

参考文献一覧


 


1.1 訪日外国人旅行者数の推移と国別構成

訪日外国人旅行者の数は、近年顕著な増加傾向を示している。特に2010年代以降、日本政府による観光立国政策の推進やビザ緩和措置、LCC(格安航空会社)の拡充、そして都市間移動の利便性向上が相まって、外国人旅行者数は大幅に増加した。統計によれば、2010年には約800万人であった訪日旅行者数は、2019年には過去最高の約3,200万人に達し、年間における旅行者数はおよそ4倍に拡大した。こうした増加は、特定の国や地域に偏ることなく、アジアを中心に幅広い国々からの旅行者が日本を訪れる結果となっている。

国別構成を見ると、東アジア圏の旅行者が大きな割合を占める。特に中国、韓国、台湾からの訪日者数は多く、全体の約半数を占める。中国からの旅行者は2010年代前半に急増し、買い物や食文化体験を目的とする旅行者が多いことが特徴である。韓国からの訪日旅行者は地理的近接性を背景に、週末旅行や短期旅行の比率が高く、都市観光や温泉、ショッピングを中心とした消費傾向が顕著である。また、台湾からの旅行者は個人旅行の比率が高く、都市観光や歴史文化体験に加え、地域限定の体験型プログラムに高い関心を示している。

一方で、東南アジアや欧米地域からの旅行者も増加しており、タイ、マレーシア、シンガポールといった東南アジア諸国からの訪日者は、自然体験やテーマパーク、都市観光を複合的に楽しむ傾向が見られる。欧米からの旅行者は、文化資源や歴史的建造物、伝統芸能などに重点を置いた観光を志向し、訪日旅行において比較的長期滞在を選択する場合が多い。これにより、訪日外国人旅行者の国別構成は地域ごとに異なる旅行ニーズを反映するものとなり、多様化が進んでいる。

また、季節や行事による変動も国別構成の特徴として挙げられる。中国や韓国の旧正月、ゴールデンウィークや年末年始の時期には、東アジア圏からの旅行者が集中する傾向が強く、都市部の観光地やショッピングエリアの混雑が顕著となる。一方、欧米地域からの旅行者は、桜の季節や紅葉シーズンなど、日本の自然美を楽しむ時期に集中する傾向があり、地域ごとの観光資源活用にも影響を与えている。

このように、訪日外国人旅行者数の増加と国別構成の多様化は、旅行者ニーズの把握や観光政策の策定において重要な基盤となる。旅行者の国籍や地域別特徴を理解することで、適切なプロモーション戦略や観光資源の整備、サービス向上策を構築することが可能であり、訪日旅行の魅力を最大化するための基本的視座を提供するものである。


 


1.2 訪日旅行の目的別傾向


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